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sunday moning

一年位前に書いた良く解らないへたりあの典丁。色々下手なので注意されたし。
ずーーーーーーと熱を上げている。
マルーン5の曲を聞きながら書いたわけだけど、SHERLOCKでも書いていて、まるで違うものができあがる不思議。
雨は降っている。
互いの痛みと傷跡と罪悪の葛藤の末に今此処に居る。

雨の音がする。鳥の声も風の騒めきも無く、とても静かだった。耳を澄ませば、雨滴が微かに聞こえた。

嘗て合った酷い折檻も、今や為りを顰めその人は穏やかにも見える。何かに折にその話題を耳にすると、凝乎っと此方を向き直り、頬を出す。
「遣り返してぇか?」と―――――。
そんなことは度々で、今もそうだった。だからこそ何故今その話題が出て、彼が頬を差し出して来ているのかが解らない。
少なくとも幸せな時間を過しているのに。
デンマークは明朗で快活な性格の青年に成長した。
空色の眸と明るい金髪。
「殴ってもいいっぺよ」
眼を縁取るのは髪と同じ色をした黄色味の強い金色の鬱蒼りとした睫毛だ。
嘗て、酷い日々を過した。
陰惨で剣呑と怨嗟に彩られた追憶の日々だ。
けれど時代を降るほどに北欧と言う国々の中で次第に怨嗟は薄められ、成長した。
純粋にデンマークの力が弱められたことも一旦であるし、スウェーデンの力が台頭していったのも要因であろう。
成長したのだ。
あの頃の痛みは今も忘れることはない。
しかし忘れないまでも、それが理由で席を同じくすることを厭うようなことは無い。
その葛藤を乗り越えられたのだ。
乗り越えた上で今こうして、此処に居る。

指で彼の丸い額を弾いた。
彼の額は白く滑らかでどうせなら弾くのではなく指でなぞりたい。
「しねえべ」
「ふぅん。でも俺殴られても怒んねえよ」
夢想することはある。此の人の頬を殴り付けたら気持ち好いだろうか、と。跫で詰って、腹を蹴り上げれば彼の明朗な声音は呻くだろう。そして、その声音を聞きたい。
けれど、自分がそれをしないということを知っている。
昔のことは昔のことだ。
自分がされたことではあるが、夢の中の話のようにも感じる。
怨恨は根強い。慥かに其処にある。
だが、それが此の人の頬を殴る理由にはならない。
殴りたくないのだ。
そして同時に、きっとその行為に手を染めてしまえば淫することも。嘗てのデンマークがそうであったように。
我々北欧の面々にはその気があるのだ。
暴力に淫すればそれに耽溺し、抜け出すことに時間が掛る自覚がある。
「殴られてえのけ、」
自分の声が掠れているのは寝起きだったからだ。
「…んー…否、そういうわけでもねえけっど。殴られるんなら、おめえかなってなー」
デンマークが笑う。
綺麗な笑みだ。顔面の何もかもが弛んで、明朗で温かい笑みだ。
ずっとずっと好きだった。
此の顔が。

最初に共寝をしたのは、ずっと幼い頃だった。

幼いなりに自分よりもずっとデンマークは柔らかそうで、酷く情欲をそそった。彼が時として酷い暴力を振るう以外は。否、本当はそんな時すら自分は彼に欲情していた。怒りにや暴力に淫するに任せる顔を美しいと思っていた。あの頃よりずっと穏やかに見える今もそれは続いている。自分たちの立ち位置など、関係なかった。

「そろそろ起きるべ?」
デンマークが訊く。不思議なほど穏やかな朝だ。
酷く寒くかった。外界では雨の音が聞こえる。日曜の朝に雨だ。
「飯喰ったら、久しぶりにドライブすんべ」
海が見たい、と云った。
嘗て海を駆けた。海と陸の差は殆ど無い。第一、デンマークの首都は島にあるのだ。気が向けばすぐに海へ出られる。
「最近あんま車も運転出来てねえし。ドライヴ行こう。どうせならストックホルムで飯喰うか?」
互いの歴史を紐解けば、陰惨なことばかりだ。
此の腕の中の人物は己の首都で血の粛清を繰り広げたこともある。。
今のこの状態では生殺与奪の権利は殆どスウェーデンの気紛れさにあると云ってもいい。
デンマークはとても寛いだした様子で躊躇いさえ持ちさえしなければ、十割の確率で息の根を止めることすら出来るのだ。
けれどスウェーデンはそうしない。最早、することはない。否、すっとそんなことを考えたことすらなかった。彼の許をフィンランドと発ったのですら、本当は彼の支配からの脱却だけでなく、彼を決定的に殺すだけの力が己にあると知ってしまったからだ。それほどに強くなっていたのだ。
デンマークから度々に背を狙われるのは心地良かった。彼の意識がスウェーデンに向かっていることを表す指標に見えた。
葛藤と怨嗟の桎梏を越えて、穏やかに一緒に寝る。彼と膚を重ねる。
ずっと欲しかったものを手に入れた。政治の解決を血の粛清で図らないデンマークとの日々だ。
「おめえが送ってくれるんのけ、」
「おお!スヴェーリエのボルボ転がすんだ」
頬を撫でる。滑らかな感触と温かさを感じる。デンマークは体温が高い。子供のようだ。フィンランドやアイスランドよりもずっと温かい。耳の下を撫ぜると擽ったそうに眼を細めた。
そして先刻弾いた額に脣を寄せた。
齧り付きたくなるほどに彼の額は心地良い。
「やめっぺ、起きるんだろうが」
「なんでだ、」
日曜日だ。互いに仕事の無いことを確認して、スウェーデンは此処に車を向かわせたのだ。
「欲しくなる。けど、飯も喰いてえ。ほら、眼鏡掛けろや、男前が」
おめえは怖い顔だいなぁ、とベッドサイドの本が詰まれた小さな卓子からデンマークは眼鏡の蔓を開いてスウェーデンに掛けた。
眼鏡越しの瞭然とした世界でみるデンマークは少し肉感的だ。太っているわけではない。ただ、白くて柔らかそうなのだ。
敷布を持ち上げ、上肢を起こそうとするデンマークの円やかに見える背を抱き締めた。
「ちょ…なんだあ!」
背筋の筋肉をがしがしと噛む。
胸に温かなものが沸き上がる。
何度も歯を立てることを繰り返して、そして吸い上げた。
振り返ったデンマークが頭に手を置き、ごしごしと撫でた。
「甘えただなぁ、スヴェーリエ」
穏やかに微笑む彼は最早殴りかかる気配さえない。前の大戦から東西の冷戦では米寄りのコネクトを密かに保ってくれていたのは此の人なのだ。
斜め後ろに僅かに上体を崩して、デンマークはスウェーデンの両頬を掴むと脣を合わせた。
「昨日散々やってくれた誰かさんの所為で、あちこち痛いし…鳥渡ひりひり感が抜けねえんだ。…久々だったしな、」
がっついた。少し情けない顔をして小さく呟くが、吐息すると莞爾と笑った。
「飯の用意してくっから。おめえはも少し寝てろ」
下瞼を親指の腹で拭われる。
「忙しかったんだろう?ひでえ顔して」
逢いたかった。久々の休みに殆ど宣告のように行くことを告げて海を渡ったのだ。デンマークからの否は無かったので同意と受け取ったし、実際逢わない日の間デンマークにも程程に忙しかったらしい。
デンマークは寝台から出ると、スウェーデンに敷布を掛けなおす。そして室内のソファへ歩いて行き、掛けられたジーンズと襯衣を羽織った。アンダーウェアはどうしたのだろう。
「寝てろ、」
云い置いてデンマークは寝室を出て行った。
頭まですっぽりと敷布を被る。彼の使っている主寝室の敷布からは当然のことながらデンマークの体臭がする。甘い。
雨の朝は外界が仄明るい。
その外光が立ち籠める中でスウェーデンは眼を閉じた。
良かった。朝を殺伐とした気持ちで迎えることが無くなって、良かった。こうしてデンマークの匂いを甘いと感じつつ、穏やかに彼への愛おしさばかりを感じる朝が此の身の上に訪れたを、微睡の中で喜びと感じていた。

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