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夜歩く

拍手御礼掌編『一掴みの藁のウィリアム』(総一郎+ショタえのせき)をほんの少しだけ手直し。テディベアルの続編と言うか延長線上にある代物。あれ一応ハロウィンものなんだけど思えば『Ignis Fatuus』(青関)もなので二篇書いていたとは。あと一個書きたい。

以下、たぶん甘えたな有り得ない榎木津……

■ 夜の散歩に出た。白昼は幻惑を起こしつづけているような眩さと暑さだったが今の時分のは薄手の外套が必要な程だった。空は霽れていたが見上げても星の名前が解る関口ではない。ただ街中のビルヂングや家々の灯りは命火の様に思えた。
 隣を歩く榎木津は珍しく黙った儘で、電車がある内に帰らねば為らない関口も結局満足な会話の話題が無く黙った儘だ。元来口下手でもある。
酔漢が擦れ違い様関口の肩にぶつかりそうになって榎木津の手が伸び自らの方へ引き寄せ事なきを得た。思わず顔を見上げれば苦笑した榎木津が全く君は猿だなと鼻を摘まんだ。
 双人の夜の散歩は探偵社の最寄り駅が執着というのがお決まりだ。僅かに向かい合って別れを告げ身を翻そうとしたその須臾に榎木津の指が関口の左手中指の第一関節を捉えた。思わず振り返ると僅かに俯く榎木津の長い睫毛が外套に照らし出されていた。捉えた爪を榎木津の拇指の腹が撫でる。脳の新が揺さぶられ関口の心身はやおら震えた。榎木津が眼線を上げる。彼の明眸が欲に塗れて見えた。だけれどそれはきっと幻想で、欲に塗れているのは寧ろ己れなのだ。今夜は帰らないと電話を掛けるよ、関口は小さく呟いた。

拍手[7回]

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ツイッタで書き散らしたものです。中々此処更新が無いしツイッタは書き流す心算だったけど、ネタ帳公開だと言うことで。面倒なので日付はありません。文章なのか呟きなのか解らない形態ですか読みたい人はどうぞ。
CP雑多だけど基本榎関。
下に往くほど新しいです。
一番最後にある榎木津巽になる話を書きたいけど、あれは或る方のツイートに便乗したものなので許可を取らねば。

■人が涙を流すことは生理現象の一つでも有るというのに何故か榎木津と言う男が泣いている処を想定したことがなかった。なんと声を掛けるべきかも解らず、暫く傍にいたが一人にした方が良いのでは無いかと関口は居心地の悪さも起因して逃げ去ろうとすると腕を取られた。見上げられた眼の縁が朱い。
瞬きをすると珠のような礫が燦めいて零れ落ちた。「そばにいて」普段の命令形は何処に形を顰めたか、懇願のそれに関口は横へ腰を下ろした。手首を取られたままだ。脈が彼の手には伝わっていることだろう。どうしたのですかと漸うと口にすれば、明確な答えは無かったが口付けをしてくれれば泣き止むよと。
茶化すように榎木津は告げた。まさか関口がそれを実行するとは思わなかったに違いない。関口は腰を浮かせてその可憐な頬に顔を寄せた。
毒にも薬にもならない学生時代な榎関。でもこういうを書くのが好き

■木場と関口は復員してきた港湾の民家兼宿屋みたいな処の四畳半よりももっと狭い布団部屋?みたいな処で一度きりの情事が有る筈なんだ……! お互い汚くて臭くてでもそれが乾いていて、勃つわけないと思っていたのにちゃんと勃起して。密林の逃避行を思い出しながら。
たった一回で二人とも無かったふりをしているけど木場は関口をとても大切にしているし関口も榎と京に対するのとは違う全幅の信頼と安心があって頼りにしていると言う状況下で木場の後輩である青木が関口と言う存在に唆されている。

■水無月の夜にただ道を駆ける関口がみたい。汗が額を伝って眼が痛くて、頬を涕泣が流れて行く。何故榎木津先輩なぞを好きになってしまったのか困惑し走り出すことしかできない関口。灼ける咽喉の痛みと身体の辛さに立ち止まると鼻先も頤も頸筋も脇も背も汗に濡れて羊水から上がった許りの嬰児のようで。
総一郎さんが保護するか、榎さんが関くんの襯衣の襟首を掴んで捕まえるか……

■関口に榎木津の真意が見えず、仕事を抜け出した青木と仄暗い情事に耽ったばかりの身で原稿を取りに来た鳥口と家近くの道でバッタリと会って。
関くんは中禅寺に言えないことも(気付いているだろうけど)鳥口には吐露出来ると思うよ
関口にとって青木が誰かの代用でしかないことを解りつつ自分も敦子に焦がれているので相打ちだろうと思っている青木。でも青木は薄らと関口が自分を見ないことに血を流しているし、関口はそれに気付かない。青木くんは関口は榎木津しか見てないんだなあと思っている。
榎さんは他から見れば一目瞭然なんだけど、関くんには真意を隠しそう。だから関口は混乱するし困惑する。そして巻き込まれる周囲……
誰の手でもいいから欲しくなるんだ、と鳥口の小指に触りながら言う酷い関口。いっそ惨い。
でも青木と関口の何かに薄らと気付いている鳥口は小指を触らせる儘で。我慢は何処まで効くのか。
なんとも思わないんじゃ無い。我慢しているんだ。自分の方が青木なぞよりずっと付き合いは長く、想っているのに。
こういう時にうへえとは言えないんだろうな鳥口くん。
関口が鳥口のことをそう言う意味で眼中に無いから。
多分青木のこともそう言う意味で眼中にないんだよ。榎木津だけが欲しくて、他の誰かはその寂しさを埋めるためでしかないとか関口くんが最低になって行く……

■学生時代。関口が図書館の椅子で転た寝てしまって、左肩が重くて目を覚ますと頬を擽る鳶色の毛髪。健やかな規律正しい寝息と微かな体臭は馨しく榎木津だと言うことに気が付くと全身が発熱しだし、関口は自覚した許りで汗が噴き出してくる処に中禅寺が通りがかり、
声を出さずに身振り手振りで助けを求める。中禅寺が二人を見遣ると榎木津の口が笑いを堪えている。馬鹿二人に構っていられないと自分でなんとかしろと告げて行ってしまう中禅寺に、焦る関口は焦りすぎてやがて眠くなり榎木津に凭れ掛かるように二人揃って睡ってしまい
閉館の報せで漸うと関口の肩から身を起こす榎木津。

■休日の早朝だった。雨の音が間断無く聞こえる中で肩を揺さぶられ、瞼を持ち上げれば既に着替えを済ませた榎木津がいて早く服を着ろと急かされる。いつも寝穢いのはどっちだと思うが言われるが儘に着替える。それらは以前忘れていった衣服が丁度一揃いになったようだった。
下に車を駐めてあるから早く来いと。昨夜着ていた服はどうしたのだろう。時計を見れば五時も半時を過ぎたばかりで外界は何処か仄青い。雨粒越しのぼやけた視界。目が悪い筈だのに榎木津の運転は滑らかで規則も危うくない。助手席で膝を抱え込みながら、
車をどうしたのか訊けば愚兄が貸し付けていったのだと応えた。彼方此方跳ね放題の頭髪を混ぜっ返され好い加減起きなさい関くんと常に無く優しく声を掛けられた。

■後輩たちと温泉に出かけた。然程長い期間ではない。鄙びた宿の庭には立葵が林立している。赤色や白い縁に中央が濃紫をした花弁。呵責とまで言える陽の下天辺まで咲き誇って既に梅雨が明けたことを報せていた。夢うつつに立葵の中に立つ人物に気が付いた。
白い麻の湯帷子に菫菜の帯が胸の下で締められ陽を避けているのか白い手拭いを頭からに被せていた。すわ陽の下の幽霊かと思う。薄らと意識も視野もあるのに一指も動かない。幽霊は榎木津に翳りを落とす。強い日差しを背にした幽霊の顔は解らない。それは腰を屈めて榎さんと呼んだ。声が出ない。
睡り続けていると思ったのだろうか。彼は幾度か逡巡したようだったがやがて更に腰を屈めてほんの僅かと脣に触れた(榎関)

■とざいとーざい片や中禅寺秋彦こなた榎木津礼二郎この一番にて本日打ち止め……と関口が壁に両脚を伸ばしてあげ寝転がって本を読んでいると額をぺちりと叩かれた。僕は関取になった覚えは無いぞ。あー榎さんと気怠げに関口が闖入者を呼んだ

■中禅寺にも白い目で見られていると思っているし出来れば其の儘内密にしたいけど、榎さん気付いているし起きてるし既成事実として関口の内省を日の下に暴き出す(酷) 僕が好きなんだろう観念しなさいと。(じゃあ榎さんはどうなのですか?)と訊けない関くん。

■あれ(礼二郎)があんなに執着するのは珍しい。君に感謝しなくてはね。貴方は関口をどうするつもりですか。時にあれは荒ぶる。否、そう言う時があって欲しい。人の身にあれだけの才は弟ながら稀なるものだ。だから関口くんには毘那夜迦に対する菩薩であれと。そして二人で歓喜を得れば万々歳だ。
飽くまで関口を使おうとする総一郎さん。弟も関口も駒としてしか見ていない。
菩薩とかくと崇高な感じがしてしまうから扇那夜迦持善天で。
大自在天の帰依の誦法を説きますか。その御修法は危険ですよと中禅寺が言えば総一郎はその男雛顔を莞爾と咲かせ勿論だと応じた。しかし最初男であってのち夫婦になるなどぴったりじゃあないかそう思わないか中禅寺くん。
大聖歓喜双身大自在天毘那夜迦王帰依念誦供養法というの。総一郎さんお公家さんだしきっとそういう方向にも強いよ。

■按摩なんだろうなって人は思っているけど、それだけで済む訳ないだろう?と嗤う榎木津が見える……。否、榎木津は笑うんだ後ろ暗いことであっても莞爾と。
ただ按摩をさせていただけだと思っていたのか、と蜜も滴るような笑みを榎木津は中禅寺に向けた。
人の色事に興味がないといつも言っているのに何故僕に聞かせるんです?と中禅寺が問えば榎木津は鼻を鳴らした。そんな姿さえこの男は美麗だ。関はいつも僕から逃げることを伺っているような気がする。いつか逃げて僕との間にあったことを忘れてしまうだろう。健忘さんだからな。
だから関の代わりに君が覚えていればいいんだ。そう言って榎木津は面白くないと珍しく漏らした。中禅寺は了解しましたと言う代わりにため息をひとつ 落とした。中禅寺さんは榎関莫迦二人に迷惑を掛けられているんだよ!学生時代からずっと。

■浄土とは榎木津は言わないね。往生したようだったよ。と言って往生?と関口が問い返せばそう往生しないといけないとこと答えた。つまりは阿弥陀仏の主宰する場所のことだと。関口は珍しく榎木津が白地なことを言うのに赤面症を発動した。

■按摩のお礼とばかりに関くんの乳首を舐めて吸って噛んで開発に勤む榎木津が見たい(見たいか?)
或る日ぴゅっと乳腺分泌があって泣いてしまう関くんと達成感を味わう榎木津。程よく乳首が大きくなったまま戻らずにシャツ一枚だと心許ない関口だのに学徒動員で木場に目の当たりにされると目の毒だからと部下へは隠される。
替えのシャツとか胸に向かって投げてくれる木場軍曹。それから風呂の時とかは部下から切り離されて、それ、どの馬鹿だよ?と訊かれ榎…さんと応えると、あの馬鹿かよ。静かに怒髪天を突く言うな木場はポツリと帰ったらお前さんは殴りに行くべきだ。と職業軍人らしからぬことを言った。
木場は関口二等兵に早く試験受けて将校になった方がいいぞあんたいじめられそうだからなこんな処じゃあ特に。とあの馬鹿と同じ学校だったんだろ?と訊かれると高等学校だけですよと答えじゃあやっぱり勉強は出来るんじゃあねえかと薦めていそうだ。でも結局同じ部隊になり密林の逃避行へ

■青木くんのネクタイは無地で汗が染み込んでて頸部の後ろに回る箇所がよれて草臥れてるんだろう。あと仕事場が基本煙で真っ白だから煙草臭そう。関くんはそれを嗅いで一人でシてみれば良いのだ。
同衾すれど余り青木くんに対し思慕等の自覚がない関口。だから青木くんの匂いで下肢に手を伸ばしたことが意外で周章していそう。

■共寝は時々蹴られることもあるのに直に感じる体温は温かいと言うより熱くて瞼をこじ開けると形の良い鼻梁と睫毛があって榎木津に囲い込まれていた。榎さんと呼んでも唸るばかりで起きる様子はない。皮膚の間に浮かぶ汗が気持ち悪いような気もする。身を捩ったり囲い込む腕を外そうとするが効果は無く。
やがて熱いのに陽は既に昇っているのに眠くなる関口。その肩に頭を押しつけて落ちてくる瞼を留めなかった。そして目出度く二人揃って熱中症に

■青木くんと関口は誰が見ても頸を傾げる組み合わせなので二人が何処かの神社で茅の輪を潜っているのを、手を繋いでいるようにさえ見える青木と関口の距離感、見掛けて不審に思う益田くん。そしてそれを榎木津に視られる。
青木くんの入れ知恵で京極堂に和菓子の水無月を買って行ったりして不審がられる。

■閃光が一瞬四辺を照射して再びの暗闇に戻る。幾たびも繰り返されるそれに眼を閉じていたのだが不意に雫が濡らした気がして瞼を推して上げれば白い閃光の中に雨で水浸しとなった関口の姿があった。蚊の羽音のように名を呼ばれ榎木津は浴室に震えた闖入者を押し込んだ。襯衣を剥ぎ取ろうとすると拒まれた。
浴室の蓮口の蛇口を捻ると温い水が降り注ぎ榎木津は入るように促した。和寅も益田もいないので仕様がなく薬缶で湯を沸かしたがいつまで経っても関口は現れず再び浴室を見れば濛々とした中で驟雨に打たれ立ち尽くした儘の関口がいた。何が彼に必要なのか。あいにくと榎木津は解ってしまう。
濛々とした驟雨へ身を投げ打つと関口が目線を上げた。そして其の儘口付けを与えた。流水に曝された関口の踵が僅かに浮いた。

■濡れ鼠の関口を迎え入れると、総一郎は尊父から預かったままの安和に世話を頼み湯を浴びさせた。濡れた頭髪も其儘に湯帷子姿の関口を部屋に招き入れ長椅子に座らせると湯気を上げる聖ヤコブの貝の姿を模したベリーク窯製の碗を差し出した。関口が口を着けるのを観てほんの少し総一郎の口端が綻んだ。
昨日榎さんでも殆ど同じ内容のツイをしたけど、総一郎さんはお貴族さまなので世話を安和に任せお茶だけ淹れてくれる。茶請け用意は使用人がするけど。榎さんは欲望のまま手が出てしまう?

■柔らかな桃をじゅぶじゅぶ言わせながら啜るように貪る榎木津が見たい。手が桃の汁で塗れてしまって、関口が榎さんの手は綺麗だなと思いながら不図手を取って舐めてしまうのも。あっ…まい……と吐息をするように呟いて、漸うと何をしたのか気付く。
破廉恥な猿だ、と指を咥える関口の頭上に声が降った。関口はゆっくりと指から口腔を引き上げる。唾液が伝って切れた。顔が上げられない。榎木津の眸子に侮蔑の色が僅かにでもあったら、もう生きては行けないだろうと思った。

■鳥口くんと楚木逸己での逃避行がみたい、かな。偶に楚木逸己を知っている人がいて「取材旅行なんです、」と二人同じ笑顔で躱すんだ。僕にはもう楚木逸己しかないよ、って鳥口くんに囁いてくれる関口。何くれと助けてくれる友人にも額勢時代から憧憬を抱き続けた人にも妻にも背いて、来てしまったから

■にょたつみちゃんな榎関を未だ諦めてない。女学校に通うにょたつみちゃんがクリスマス会でマリアさまをやることになって産むのは神の子なんだから僕が神に決まっているだろう?と榎木津が口を挟む。
中禅寺はヨセフだなと役を勝手に当てがって、何で中禅寺がヨセフなんだろう?と思っていると寝取られ男だろ?と傍若無人な榎木津。学校行事だって言ってるでしょう?と内心思っていても大きな声で言えないにょたつみちゃんが中禅寺に目ですがる。

■白い小さな花弁枝垂れる雪柳が行く手を阻むように群生していた。未だ膚寒く鼻先がツンとして関口は洟を啜った。本当にこんな処にあの男はいるのだろうか。腿から膝で掻き分けるように群生の中を行けば、莟を膨らませた辛夷の木がありその向こうに朽ちた堂宇があった。
の軒先、所々板が外れた濡れ縁の浅く腰掛けた榎木津がいて気怠そうに関口を見て手を上げた。挨拶の心算だろう。こんな処に喚び出して、と言うと君はこういう廃寺が好きだろうと思ってねと呟いた。秀麗な鼻梁の先端、鼻先が仄かに朱い。どのくらい待ったのだろうか。
はい、と近所の喫茶店で分けて貰った珈琲の入った水筒を掲げてみれば忘れなかったようだね重畳重畳と破顔した。そういうあんたはどうなんだと言うと評判のパン屋からサンドウィッチを買ってきたよと飴色に染まった籐製のバスケットを掲げて見せた。
偶にはこんな何処かで落ち合うデートも良いだろうと俯くように一輪ひっそりと咲く小さな薄紅色の侘助を眺めやりながら榎木津は言った。


■関くんがエノさんに健忘さんと呼ばれるのは決定的な何かを忘れ去ってしまっているからなんだろうと腑に落ちてしまって泣きそうになっていた。それこそ心因性の健忘症で、榎木津との間にあった何かなんだけど関口は思い出せなくて懸命に思い出そうとしていて榎木津は時折悲しい顔を垣間見させている。
関くんがポロポロと思い出を忘れていってしまっているのを榎木津は耐えているのかな……
だのに関くんは榎木津に見蕩れるんだよ。恍惚とするの。忘れてしまっているのに。……駄目だ泣きそうだ……
僕はどうしたらいい?と精悍な真剣な表情でだけれど中禅寺を決して見ること無く榎木津は訊いた。あんたにできるのは待つことですよと中禅寺がいつに無く固い声音で告げた。ただ待つだけだと。関口を壊すことだけは許さない、それは二人に共通した絶対的な理念だった。何十年と待つかもしれないのだ。
関くんが自分が何かを忘れていることに気づいて涙を零しながら思い出そうとしているのを考えると胸が詰まる。

■いつ迄経っても名前を覚えて呉れない親爺の食堂で独り侘しい餉に預かっていると如何やら同門の学生が別の卓子に居るようで関口は知らず耳を欹てた。能く知った名前が会話に現れて居たからだった。曰く図書室で見る榎木津は書籍を繰って居る姿はまるで外つ国の神学校の徒である様だと云うことだった。
飽きた。否その本は実家の蔵から出てきたという艶本で実情を知らないとは恐ろしいなと云う関口の感慨をーーーーー飽きた。流石に榎さんでも十代頃は艶本とか読んだだろ。

■実家で遠目に兄を見て厭な予感がした。暫くして関口が恐慌状態に陥っていることを知った。兄を見つけ出すと彼は襯衣の袖をガーターで捲り上げ胴衣の釦を外し書類を手にし仕事中だった。あんた関に何をしたと問い掛けるとあの子と兄は唇に笑みを刷いた。厭な予感がした。
君はあの子をどうしているんだ?一舐めでイってしまったよと赤い舌を見せて笑った。僕が彼の吐き出したものを飲み込むと泣き出してしまって少し困った。でもいつか僕のを舐めて欲しい旨を告げると震えながら頷いてくれたんだあの子と言い、顔を青褪めさせやがて忿怒に紅く染まった弟の顔を眺めやって満足そうに目を細めた。

■榎さんが自分の容姿の繊細さに無頓着で交媾に於ける自分を牡牛だよと言って呆気にとられている関口が嗚呼ゼウスも牡牛に化けたよねとなんとなく榎木津の発言に折り合いをつけるのとか可愛くない?

■榎さんが関くんを軍鶏鍋屋に連れて行ってくれるのが見たい。関くんの給仕はヘッタクソだから其処の女の人給仕して欲しいと色気もへったくれもない。軍鶏鍋屋を出ると街をぶらぶらぞめき歩いて適当な連れ込み宿でも探しているのかいないのか。
関くん確かに軍鶏も美味いがもう少し精のつくもの喰べたくないか?と言われ関口が上目遣いに窺う様に見上げて充分だと思いますよと口にすると榎木津は片眉を器用に押し上げて関口を眺めやるとふーんと褒め言葉だと思っておこうと嘯いた。

■いつの間にか総一郎さんが関くんを自分の養い子として籍を入れ驚愕に言葉もない蒼白の関口に僕のことは父でも義兄(あに)でも良いよと述給う。そして苦虫を噛んだような弟の隣に立たせ、めおとのようだねと莞爾と笑い、幾久しく添い遂げられますようと言祝いだ。弟と関口を積極的に推奨する榎木津総一郎。
取り敢えず学生を卒業するまでは榎木津巽は名乗らない方向で。と榎木津は高等学校だと思っていたら、関口は大学までのつもりだった。
徴兵の時周囲にバレるよなー。榎木津巽として木場修と出会う関くん。辞めとけと説得されそう。本土に還ったら離婚しろよと

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サルオロカ

先刻ツイッタに書いたものを此処にも記録しておこう。今年の新年度はツイッタ続けられそうで良かった。
あといつになったら京極の新作読めるのかな。結局あまぞんさん頼みです。
以下中禅寺結婚後の榎関。普通。本当に普通な話。なんだこれ

眩い皓月が窓罹の間隙を縫って静謐に部屋の中へ忍び込む。亜麻布の濤波の中で睡る背の肩甲骨が白く照らされていた。欲望の儘指を這わせようとして寸での処で我に還る。今はその為りを顰めているがほんの数刻前まで淫蕩な獣だった。睡りを妨げてはいけない。幾度となく過ごす寝台の上に再びそっと躰を横たえた。敷布から彼の匂いがする。だのに瞼を降ろすと友人の苦々しい兇悪な顔貌が像を結ぶ。臓腑が絞られるような疼痛を上げた。否や「サルオロカ」と瓏とした声が耳朶を触り抱き寄せらた。此れは、彼の偽りのない優しさだ。慈悲なのだ。関口はやおら震えてその白皙の頬へ脣を寄せた。

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new rules

カミラカベロだとか言っておきながらデュアリパのnew rules。三つのルールを設定するところが可愛いなと思って。
以下、榎関で関口が未だ結婚する前で、神崎さんの存在が露呈した場合の掌話です。最近こんなのばかり書いているな……



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捕喰

草の踏む音が聞こえてトーリン・オーケンシールドは目を開けた。誰が沢に向かったのだ。珍しくも天然の湯水が混じる真温い沢であった。夜の番をするものはボフールだったはずだ。周囲へ目を巡らせれば明らかに人の数が少ないことが知れた。そしてそれが誰だと云うことも。腰を上げる。魔狼の声はしない。したとしても獣(ケダモノ)等の最大の標的はトーリンに他ならない。しかし穢れの王の騎獣はあの小柄な仁の臭いを憶えただろう。群れから離れない方が良い。殊に戦うことにも慣れていないのだ。ボフールを伺えば彼はホビットの後を追おうとするトーリンを一瞥して僅かに口はしを緩めると、不意と目線を逸らした。その様子から窺えることはホビットはボフールの了を得たことになる。それでも彼のあとを追跡すれば僅かな水辺に白い物体が見えた。否それはホビットの肉感に溢れた肢体の背があった。白いハリのある皮膚。トーリンは瞬きの間に触れば指が沈むだろう柔らかさをまざまざと思い描いた。僅かに背の肩胛骨の張り出しと背の中央を走る窪みがあって、臀部も肉が豊かだった。両の手で臑までの水を掬い上げると顔を洗って一つ吐息したホビットはゆっくりと振り返って、トーリン・オーケンシールドと眼を合わせた。あ、と小さく声を上がり、一瞬その動きが固まった。次瞬には慌てて再び背を向ける。
「トトトトトトーリン…!」
しろい肉(しし)が薄紅色を纏って往くのをトーリンは凝視していた。
「ええと、ええと…」ビルボ・バギンズは言葉を唸り、溜息を吐き出すとトーリンに手だけを差し出した。
「すみません、その…外套を取って下さい」
傍には未だ若い木があって、其処にホビットの衣服が掛けられていた。
トーリンは懇願されるままに臙脂色の外套を取り上げ差し伸べた。ビルボは片腕を胸に交差させて、左手だけを伸ばしていた。その手に外套が触れるか否か。トーリンはビルボの手首を掴み上げ水の中から引き抜いた。「うわあぁっっ」地上に引き上げられると僅かに蹌踉めいたが、トーリンの腕がそれを阻んだ。
今の様子を見れば、殆どトーリンの腕に囲われるような態勢だったのだ。
尚も顔に朱が走った。
「不用心だとは思わないのか、」
すぐ近くで、彼の低く厳しくも瓏とした声がビルボの耳朶に触った。

 咎めるつもりでは無かったのだが、ビルボが僅かに萎縮したのをトーリンは手に取るように感じた。それ程に今二人は傍に居た。
否、恥じらっているのかーーー。
「ボフールには告げて来たんです。まさかお湯の混じった沢に出会えるとは思わなくて……」
最後の真面な入浴は裂け谷でのことだった。そう小声で告げて、ホビットは尖った耳から頸筋、鎖骨の辺りまでを真朱(まそほ)に染めていた。手にしていた外套をその肩に掛けるとビルボが僅かに身を震わせた。
「其処で待っているからすぐに着替えろ、」
トーリンはビルボから背を向けた。

 男同士で何を恥らう必要があるのか、とも思うのだが相手があのトーリン・オーケンシールドだと思うと全身から火を放つ程に居た堪れなかった。きっとこれがボフールであれば「一緒にどうだい、」程にも軽く誘えるだろうに。
鞄から晒しを探し出し、躰の水気を拭き取ると、慌てて衣類を身につけた。久々の入浴は矢張り心地よいもので、抗い難い清涼感があった。もし、トーリンをいざなったら彼はどうしただろう。不意に浮かんだその思考を頭を振ってビルボは打ち消した。

 トーリン・オーケンシールドは鼻腔にビルボの匂いが残るようだ、と背後で着替える人物の動作音を耳にしながら鼻を吸った。尤もホビットの体臭は然程に特徴的な代物ではなかった。だのに鼻腔の奥がほんの僅かに甘い。それだけだ。ただ、この感慨は何かに似ていると感じていた。
不意に脳裏にあの汚らわしい魔狼が浮かぶ。赤いまなこに尖った刃。口からは常に飢えたような滴りがあった。
汚らしい穢れた粘り気の多い、滂沱の唾液だった。

飢えている。

あの豊かな肉(しし)を魔狼が貪る。
血を啜って骨までを舐め上げ噛み砕くのだ。
何故か、脳裏にそんな光景が結ばれる。
あの柔らかな皮膚にあの歯が当てられるのだ。

ごくりーーー

酷く大きく、トーリンの咽喉が、鳴った。



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お互い意識しすぎているトーリンとビルボ。と、それをにやにや見守るボフール。テーマは羽衣伝説だけど、本当はワーグのように貪り喰いたいトーリン・オーケンシールド。でも自分が其処まで渇渇だとは気付いていないんだろうな。そんな感情を意識下で汚らわしいと思っていて、ワーグとして脳裏で描かれてしまう人。国を取り戻すまで、禁欲を架してそうだよね……
はよビルボの嫁入りが見たいな。(きもちわるい)

あ。下の記事、Day6の間違えだ。先刻トイレで気付いた。

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流浪の民

 ビルボが木枝の爆ぜる音にそっと瞼を持ち上げれば、髪と髭の豊かな歳を重ねたそれでも若々しいドワーフの王子の姿があった。
思考に耽っているのか焔を凝乎っと見詰めていた。普段青く美しい彼の眸子は緋の色を受けて矢庭明るい紫色に見えた。一番火の傍に在った、ビルボ・バギンズの微かな身動ぎにトーリン・オーケンシールドの少し柔和な目線が目敏く向けられた。
きっと彼の思考は先般甚も高い岩場から見渡したそのエレボールに、懐郷に及んでいたのだ。日頃の特に厳しい彼の面に接している者からすれば、見てはならなかったと禁忌を覗いたような心持ちになるほどだった。
再び瞼を閉じようとしたのだけれど、トーリンの長い指が僅かに手招きをした。
周囲で就眠する仲間達に配慮してにじり寄るように火を間にトーリンに向かい合った。
「僕が眼を覚ますときにいつも貴方は起きている」
「…今日は私が夜の番だった」
「そうじゃなくても貴方は殆ど眠っていないでしょう?」
僅かな物音にもトーリンは起きる。瞼を持ち上げて周囲を覚る。
「躰は休めている、」
「うん。いつもの貴方をみていればそれが少しとして禍になっていないのは良く解るけど」
とそこでビルボは口を噤んだ。
嗚呼、ともう少しで声を漏らしてしまいそうだった。
恐らくは、このトーリン・オーケンシールドと言う男はエレボールをさってから、否モリアで数多の同胞の命を落としてからその殆どを眠れていないのではないだろうか。
彼の安眠・安住の場所はエレボールの他にないのだ。
樫の盾の名を冠すことは、誇るのではなく己の戒めなのだろう。決して故郷と同胞を忘れない為の。その谷よりも深い悔いと山よりも高き恨みを。
「バギンズ殿も存外眠りが浅いだろう、人のことは言えまい」
「僕の眠りが浅いのは……」
背後で眠る幾体ものドワーフに眼を向ける。
「好い加減慣れましたけど、」
暗に言葉を濁したが、トーリンは頷いた。
「私も同じようなものだ」
彼の同意にビルボが少し笑うとトーリンの面が僅かに白く照った。
「寒いのだと思った」
「え、」
トーリンの目の前には、膝を抱えたビルボの白い臑が剥き出しで曝されていた。臑巾もなく長い革靴も履かないホビットにトーリンは気遣って火の傍へ寄せてくれたのだと漸うとビルボは気付いた。
「えっと僕らはとっても跫が強いんですよ。ドワーフやエルフみたいに靴が要らない」
「それは承知しているが、流石にそれでは」
「大丈夫。全然問題無いのです」
ビルボは自分の臑から脹脛を触って見せた。
火へ眼をやるトーリンをビルボは凝視した。
その焔の中に嘗てのドワーフの国があるのではないかと錯覚するほどに火をみつめるトーリンの目は優しいものだった。
「ねえ、トーリン」
呼びかけると、トーリンの目線がゆっくりと動いた。
明々と彼の相貌が照らし出されていた。
「僕にも夢があるんですよ」
ビルボは笑って見せた。
「否、時々夢想してみるんです」
顔が熱い、とビルボは思った。
「僕は家にいてふかふかの寝台と温かな暖炉、手入れの行き届いた庭と、沢山の本を積み上げている。そして馬を一頭所有しているんだ。そして不図思い立って、馬に跨る。そして貴方と十二人の仲間がいるあの山の下の王国へトコトコ出掛けて行くんです」
本当に笑って見せると、今度は焔が本当に大きく膨らみトーリンの面は一瞬真っ白に照った。
残酷なことを言っているだろうか。
ビルボは心配になったが、トーリンは真剣に此方をみて僅かに眼を伏せて
「その時には歓迎する、」
と云った。
何処か面映がっているように見えた。
「……もう寝るね。僕は睡眠がたっぷりじゃないと動けないからさ」
少し離れようとすると、これを、と声を掛けられる。
振り返ると立ち上がってトーリンが自分の外套を差し出していた。
「え、いや、大丈夫だよ。本当に。上着は持っているし、本当に僕らは跫が強いんだよ。それより貴方が寒くなる!」
「私は火の傍にいるし、寒さには強い」
「でも」
「私が落ち着かない」
火を巡って、トーリンはビルボの両腕に自分の毛皮のついた外套を下ろした。
彼の温もりがそこにあった。
「……ありがとう、」
「早く寝て明日に備えたほうがいい」
「うん」
ビルボは丸まるようにしてすっぽりとその外套に収まるようにした。
トーリンの匂いがする。
眼を閉じる。
この十三人は流浪の民だ。夢に楽土を求めようにもきっと其処には故郷を見る他にないのだ。少しだけビルボの眦に涙が浮かんだ。
夢も見なかった。ただ黒洞々と暗い中でビルボは少し泣いた。十三人の友を思って。

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sunday moning

一年位前に書いた良く解らないへたりあの典丁。色々下手なので注意されたし。
ずーーーーーーと熱を上げている。
マルーン5の曲を聞きながら書いたわけだけど、SHERLOCKでも書いていて、まるで違うものができあがる不思議。
雨は降っている。

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円城さんが伊藤さんのことを「伊藤計劃」「伊藤計劃」と呼ぶものだから、二人きりの時には「聡さん、」とか呼んでいたらと妄想して竦み上がりました。

我ながらご苦労様です……(-_-;)

伊藤さんは普通に「円城さん」で。伊藤さんのが二歳下なので。
大森さんの当時の日記をよんでいると二人の微妙な間とか記述されてて其処から距離を縮めて行き、一緒にディファレンスエンジンの解説書いたり、伊藤さんが出る京フェスに円城さんが途中参戦したり、終いには病室に足繁く通うようになるまでとか。どうしたら良いの……!!
……二人は伊藤さんがあれ以上患わなければ、結婚もしないで一緒に暮らし始めたりしてそう。それこそホームズとワトソンみたいに。
お互いの才能と知性と人間性を認めあったまで盟友としてそれ以上として。
たぶんね伊藤さんの寝台はダブルベッドのシングルユースなのよ。パソコン持ち込んで映画みたり寝る前にするの。で寝る直前まで円城さんが遊びに来てて、そのまま寝ちゃうとか。
何もなくていい。
時々思い余って無理矢理唇を重ねたりしちゃうけど。基本其処まで。欲望はそれ以上進まない。生活スタイルが全然違いそうだから、たまには夕食が一緒、くらいかも。
お互いの女の子話しには嫉妬~。でも何に妬いているのかいまいち自信がない。伊藤さんはおれの非モテがなせる業だな、とか一人の時嘯いてそう。円城さんはもう少し自覚的。

仲良しな二人を妄想していると屍者の帝国が尚更切なくなるな……。
ガイリチホームズとか裏切りのサーカスとかの映画評が読みたいです伊藤さんの。



これもRPSと言うのかしら。

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追記
† ←これダガー(短剣)です。
と言うか、ダガーと打って普通に変換するとか!すげえ。
屍者の帝国の表紙はダガーなんだそうで。
昨日ブログテンプレートの検索をしていたんだけど、中々良いのが無くて仕方なく許に戻しましたとさ。
屍者の~の表紙みたいなのが欲しかった。

と言うか進まなくて困ってます。メモって置いたのが見つからなくて。
禁ツイッタ!!!
までやっておるのに。
おかげで屍者の~のエピローグⅡと言う円城氏のラヴレターを読んで、胸に込み上げているばかりですよ。もう凡てが凡て計劃さんに捧げられたそれだけの書物だよ。あれ。
何処で書いているんだ作家もえの皆さん!

ジョージ・スタンドファーストって名乗っているスマイリー。ギラムは寧ろ以前モロッコに居たときがゴードンかもね。
どちらかと言うとスクールボーイ閣下後のギラムとジョージかも。
でも取り敢えず、TTSSの後始末をしていたら色々気が滅入ってしまった疲れた二人の愛欲の日々inモロッコ的な話です。ジョージは余り休暇とれてないけど。

自分のあちこちから保存してきた京極フォルダをみていたら色々もえてもえて。
萌しそうですw(莫迦)

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ツイッタからのログ(榎関)

関口巽の怠惰な一日。 放射冷却により朝方漸く眠れて、起きると細君は既に働きに出ていて姿はなく、用意された飯をもそもそ食べて気が付くとまた寝ている。 寝汗が皮膚を流れ落ちて畳に染む。 起きては眠るの繰り返しである。 怠惰だ。 灼熱の外界には出たくないし、一日中家の中にいた。  蜩の聞こえる夕方に不図神保町には扇風機があることを思い出し訪う。けれども事務所に榎木津の姿はなく、和寅が先生は行水中だと応えた。 風呂場に押し込められ一時間後解放された。 寝室で扇風機の前で関口は動かない。暑さで堪忍袋の緒が短くなっている榎木津に力強く羽交い締めにされて就寝。 互いに汗でぬるぬるになって目覚めた。

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水の生き物

幾多の泡沫に包まれて圧迫するその重さに奈落へ陥ってゆくのをまるで他人事のように眺めていた。肺腑はやがて圧し潰され血の巡りと血液に乗る酸素は供給されず、体内の活動が停止するのだろう。肉は啄まれ藻屑となるのだ。
嗚呼、蕩けるようだ。
眠りが襲っている。そして、目の前が黒色に染まった。

雲の波頭が黄金に染まり、その裳裾は薄紅色に擦れていた。夕暮れの甚と薄き西の蒼穹に。

耳に響く漣の、途切れを知らず太古から繰り返される運動が、ずっと聞こえていた。俄かに浮上する意識のずっとずっと向こうで長い時間聞いていたはずだ。
水際に半身を浸す。耳朶に水が掛るか掛らないかの絶妙な距離で。
白い臑があった。
彼の体毛はその色素がとても薄くて、眩さの中で輝いてみていた。
「眼が醒めたかい?」
そう問う声音には何も潜んでいない。

けれど、とても傷つけたような気がした。確信に近いほどに。

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榎木津と溺れた関口。状況が書きたかっただけで意味は無い。泳げる人でも溺れるよね。そして溺れた関口を助けるのは自分の役目なんだと、榎さんは思っていると思うよ。
関口は水の生き物だと思っている。

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Ignis Fatuus

ハロウィン掌話。は、先ず青関です。
小道具を暗喩的に扱っていますが、正直ハロウィンではないです。
ふ…ファンタジィ、かな?
(最近こんな文章しか書けん)(ヤバイよ)

読んでやるぜ、と言う奇特な方は下記のリンクからどうぞ。

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何故そうなる…

ハリー。ジョン。姉弟。
思いついた単語とセンテンスの殴り書き。
sherlock_bbc

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HOT FUZZ観ていたら、あいつら皆ほんとに裏ピースだった

何日か前にツイッタに

マーティンのv○○rmanのお医者さん姿が余りにも素晴らしく、oクスfoードの古英語のエクセタ学寮の教授でべネさんがハロ出の学部生として入学してきて…とか妄想していた。理系のせんせいたちは基本Tシャツ短パンで文科省から金を取ってこそ一流と聴いたので、そこは絶対文系の教授で

エクセタ云々はトールキンから。やっぱりほびっとだし!

とか呟いていたんだけど、昨夜寝る前にどんどん妄想は進み『博士と狂人』になっていった。

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「ベニー、なんだよマジで手出されたのか?教授に」
「手を出される?」
「フリーマン教授、だろ?」
コレから向かうの。
「古英語の何か面白いのか」
正直ベネディクトにも解らなかった。てだ古英語を学ばねば彼の傍になぞ近づけない。それだけは明白だった。
「お前もアイツみたいにならないようにしろよ」
友人が出してきた名前は、恐らく此処フリーマンのいるエクセタ学寮では禁忌とされている。辞典作りを手伝っていた名も知れぬ狂人。彼はフリーマンの前で自殺したのだ。
頸を掻き切って。
淋漓とした血の海の中で教授は監視員に発見されたのだった。

実しやかに囁かれる、狂人から教授への浅からぬ…否、深淵な慕情。

学生時代から知る教授仲間に聞けば嘗てのフリーマンは今のように寡黙な他に楽しみを知らない仕事人間でもなかったと聞いた。
寮をクライストチャーチに移すという話を聞くベニー。
何故なのか訊き募るベニーに「妻と離婚が成立した」と告げるフリーマン。

「もう誰とも心を通わせるつもりはないんですか!?」
「…かつてそう思えた人がいた。直接語り合ったことは無い。だけれど、その真摯さには胸を打たれるものがあった。彼の筆跡、文体の精緻さ、論の明快さ。素晴らしかった」
「それだけで?」
「なに?」
「それだけで好きになったの?」
「…………いけないかい?」
会ってみたかった。ずっとずっと逢ってみたかった。

そう告げた手紙に一度目は拒絶。そしてその後の承諾。
記された住所は病院だった。一人訪う。

「彼は死んだ。僕の前で。彼も僕と同じだったんだ」

だから、

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勿論やけくその様に教授を犯して終りですよ。
………実にすみません……
あのスチールとベネさんがハーロウ校出身というだけで飛躍する頭の中。そして『博士と狂人』が見つからぬ。うおおおお何処行った。
これからtheofficeか、ショーンオブザデッドの予定です。

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Prosit

ドイツ式です。
今日はあの人の誕生日。
細い分にはなんぼでも構わない私には痩せた彼も美味しく頂けます。

で、以下最近の妄想。

福生みつのり【FUSSA-Mitsunori】

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僕は野獣

暑さに酔う。否、暑さにさえ酔うのだ。そして何処までが己れで、何処からか外気であるのか区別が尽かない。
時々末期の水を与えられるように、脣を湿らせる程度の水を摂取する。
夏場の水もすぐに温み、それが水かどうかさえ解らない。
水を口にしているのかさえ。
力が入らない。
眩暈を抑え込むように目を閉じて凝乎っとしている。枯れた藺草の埃の臭いが鼻につき、其処へ汗が流れ落ちているのが自覚できる。
自分がゆっくりと無くなっている。
「…嗚呼…えのさん…」
吐息したのかあの人の名前を呼んだのか解らない。
最後の最期に榎木津の名前を呼んだとしたらなんと不誠実な夫だろうか。関口は不図笑い、意識が水底の更に奥へ沈んだ。

 違和感を感じ目を開ける。暑い。暑さに負けて、敷布を柔らかな麻のものに替えたり部屋の模様替えをしたのは一週間前ほどの話だった。その前日に暑さに負けて寝台の上でへばり上げ、何もしないままに酔っていた男の所為でもある。
榎木津は渋渋する瞼をそれでも抉じ開けると、自分の前が開いていることに気付いた。
そして其処に人がいることも。
ズボンの前を開けて榎木津の陰茎や陰嚢を無視し会陰部を指で押し上げ撫で回している関口がいた。
「全く…野獣だな、セキ」
関口は目を瞠くと榎木津の腰骨にそっと手を置き、陰嚢の根本を吸い上げるように口付けたのだが、衣類を着けたままの榎木津にそれは上手く行かなかった。
「?榎さん」
「覚めた、覚めない奴がいるものか。この愚か猿が!」
榎木津の顔は闇の中で笑っていた。眩いばかりの昼が去って、窓罹も引いていない室内に夜が落ちていた。
長い腕が伸びて関口を巻き込み上げようとしているのを、関口は尚もその会陰を刺激した。
本当は舌で押し上げたいのだが、榎木津はズボンを脱いでくれる気は無いらしい。指を陰嚢の裏側に進め、皮膚を動かしつつ、指先で叩く。
榎木津の長い溜息が聞こえた。
「無理だよ、セキくん」
君じゃあるまいし。榎木津は関口を引き上げ、胸に抱いた。
「汁を流しながら全身痙攣させて、時々乗り物の中でもイっちゃえる君のような素質はないぞ、僕はね」
「えのさん、」
「するのだったら舐めてくれないか」
囁かれ、脣を合わせる。
啄み合い、歯列を開き舌を合わせる。
唾液を交歓する。
脣を離すと、関口は胸にしな垂れかかった。
そして榎木津の下肢を触れる。
「少し堅くなった」
嬉しそうな笑う声が胸からして、榎木津はその顳顬に脣を落とす。
「どうした、セキ」
汗の匂いがする。男の汗を嫌だと思わないのは関口のものくらいなものだ。否、嫌で無い訳ではない。
「けだものになろうと思って」


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のちほど書き換えます。
8月10日。野獣の日です。会陰072が得意な関くん…とか構想していたんだけれども…

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蛞蝓

(千燈会の夜、前夜の話。)

 弔いの読経が遠くに聞こえた

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加納祐介が好きです。

高村薫好きです!
合田シリーズは誰が何と言おうと合田×加納は譲れない。そう私はマイノリティ。

で以下は嘗て、自分の慰みに書いていたものです。唐突に始まって、唐突に終わる。何故なら自分の楽しいとこだけを書いていたから。
合田加納なんだけど、オリジナルの人と加納さんが絡んでます。

同志の人だけ見てください。
以下のリンクから~

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わるいゆめ

「わるいゆめ」は鳥口くんと関くんの関係性にみえてしかたありません。ってきっとB'zのACTIONと言うアルバムを聴いたことのある人にしかわからないだろうな。

「黒い青春」の歌詞を旧制中学時代の関くんと仮定して聞いてみると非常に楽しかった。(このテーマが嫌になるくらい好きなんです。何度もおなじ設定を弄り捲くってすみません)
母は女だてらに教壇に立ち、関口の父親は誰だか判らない。母は今の父と結婚して既に異父弟もいるが、母はずっと昔から関口に興味がなくて、時々の折檻が唯一のコミュニケーション。(きっと彼女の価値観は甲乙丙丁で表されているから仕方ないのだ、僕は丁ばかりだから)と思い、叩かれるたびに無理矢理作る笑顔。
家の中では殆ど幽霊で、弟と仄暗い戯むれ(かきっこ)を行うだけ。弟からの半強制(やめて欲しいと言えば辞めてくれるだろうけど、気持ちいいので流されている)。
しかし、中学校の中でも関口に気が付く人がいて、関口は煩わしく感じて遠避けようとするけれど、それでも傍にいる。
人に別け隔てなく、母のように甲乙丙丁で見るのでもなく、立っている距離しか人の間には無いと思っている明朗な同期生。(地元の青年団とかを束ねて往く様な日焼けして健康そうな人)困惑するほどの剥き出しの好意が寄せられて、多分、此奴のことが好きなんだろうと思うのだけれど、結局思いを告げることもなく、関口は東京の高等学校へ。

きっとお母さんは朱里エイコの「白い小鳩」のように、学問ばかりだった生活から連れ出してくれるといってくれた流れ者に騙されたんだよ。で、今の夫と結婚したけど、何処かに行ってしまった男のことが忘れられずにいて、時々息子に手を上げてしまう。

ベタですが、こういうのがすきなんです。すみません。決してDVを推奨しているのでも容認しているのでもありません。

でも好きな人から齎される暴力に(怖い、嫌だ)と思いつつも恍惚としている関口と言うものに抗いがたい魅力を感じています。

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唄われよ わしゃ囃す

昨夜、PCで越中おわら風の盆の謡い?をPCで聴いていて、ヘッドフォンを取ると未だ聞こえる。おかしいなとついていたTVを見ると、「風の盆が~」とか言っていた。
そんな時期なんですね。

三千世界の 松の木ァ 枯れても あんたと添わなきゃ 娑婆に出た甲斐がない

とか聴きながら、暗闇の路地で手を繋いで歩く榎と関を軽く妄想。通りにはか細い燈が見えていて、哀愁のある胡弓と三味線が聞こえている。

浮いたか瓢箪 軽そに流るる 行きゃ知らねど あの身になりたや

自分が既婚者であるとか、互いが男であるとかそれを辛いとか思ったことは無いしそれ以上に考えないようにしているが、其処から出られたらどれだけ楽なのかと少しだけ考えてみる。
榎木津の手が力が籠もる。
関口は不図、己の横を見上げる。
榎木津は涼しげな顔をしている。
けれど彼の首筋に薄らと光るものがあって、それが遠く遠く離れていく通りの燈が映っているのだと気がつき、榎木津の首筋に僅かに汗が浮いていることを知る。
もしかして。
もしかして此の人も同じことを思ったのだろうか。
関口の目線に気付いたのか、榎木津が頸を廻らした。
いつもより眸子が穏やかだ。
関口は、繋いだ榎木津の手をぐっと引くと、歩みが弱まった。それまでもとてもゆっくりゆっくり歩いていたので、其処停止した。関口は草履の踵と己の顎を上げ、目を閉じた。

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たまゆらにきのふのゆうへみしものを

斉藤和義の郷愁が京極テーマだったときがあります。あと、町田康。そんな散文。

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close to you...?

久々SD、で再録。
タイムレコードは24/09/07となっています。(…書いたっけ)
前にもたしかこんな話を書いた気が…するんだが許してください。

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朧月夜

 夜に待ち合わせをすることは殆ど日常だ。妻の在る身で他の男に恋をしたのだから、隠れて逢うことは常態で、後ろめたさは拭い得ない。けれど逢うことを辞められないのだから、なんと卑しい身のことか。
 

 夜半に念仏橋だと云う話だったのにそれより半刻早く榎木津が仕事部屋の窓を叩いた。
喜色が満ちる。
「出られるか、」
頷かないことなど無いのに、榎木津はいつも問う。その度に関口は身の不実を問われている心持ちになる。否、きっと榎木津にそんな思惑など在りはしないだろう。
彼はいつも明朗だ。
胡乱なのは関口の方なのだから。
 

窓を開け置いて、関口は土を踏む。
「跣だよ、」
と言えば、宛ら王侯諸侯のように拭ってあげるよ、と返された。
訪った男は薄手の外套を身に纏っていた。対して、屋内の男は襯衣に薄手のセーター一枚だ。
 

月齢は満に近い。だのに叢雲が掛っている。仄朦りとした月光が殆ど街燈も無い道行を霞めて照らした。
 

榎木津が関口の手を引いた。
「わっ」
躰が傾いだ。
辛うじて体勢は崩れず身を躍らせた先の何処までも続く黄色の絨毯を見た。
「どーだ!」
「榎さんっ」
「おひたしにしたいだろう」
榎木津は腰辺りまでを菜の花に浸しその頭を月に預けていた。
朧に猶予う月を光背として立つ榎木津は笑んでいた。
菩薩のような曖昧さではなく、苛烈なまでの明朗さで。
手を差し伸ばされる。
その手を取りながら「綺麗ですね」とそんな酷く陳腐なことを言い出そうとした時には榎木津の両腕が関口を攫いその儘背から菜の花の中へ倒れこむ処だった。
 

土の匂いと茎が背に押し潰される青い匂い。そして互いの精をその匂いに交じり合わせた。
 


春になってしまった…駄目。駄目。 

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あれ?三月だ…

嗚呼冬企画が楽しい。時参してます。
で、
自分が感想文が苦手で絶望してるぜ。拍手くだすっている人って凄い。尊敬する。だってちゃんと意思が伝わってるもん!私の受信が間違ってなければ。
感想書いてんのに、なんだか自分語りはいちゃってさ…。どんだけ自我が強いんだ、私は。

榎関が好きです。(呪文呪文)
次は銭喰祭です…。
半年くらい前?リクエストされたことがあったのですよ。たぶんその人もう来てないだろうけれど、自分の中で話が出来ているんだもん。
花嫁な関口が書きたくて仕方ない淫だよ。(正直)
勿論白無垢ですよ。懐剣挟んで、いざ榎さんが事に及ぼうすると「そんな話は聞いてません!」焦る関くん。懐剣を榎さんに突きつけようとするんだけど、出せない関くん。
「なんで着物ってこう鄙俗らしいのかね関くん熟考する余地があると思わないか」
「なんですか!此れ出せないですよ!」懐剣と取り込み中。
「どうでもいいけど自分の状態に気付いたほうがいいぞ、この猿め」
裾から捲り上げて、腿をさわさわ。
「え、」
躰中が粟立つ関口。
「猿のあんよ」
と膝を持ち上げて、膝の内側に、ちゅ。
関口の絹を裂く悲鳴と袋から出せない懐剣。

ってこう云う話を書きたいんじゃないんだ!
なんかこう狐の嫁入り的な、黒澤明の夢みたいな。で、加賀の嫁入り暖簾だなーやっぱり。
あとは西洋騎士パラレルも。
あ、茶碗の中を忘れている。
青関も!
なんだろう、この榎関が好き過ぎるのは。今だったら絵も描けるはず。最近 描いて無いですね。

冬企画に寄稿した話で、掻巻って普通に出しちゃいましたが、判るかな?と今頃不安になってみたりしています。
掻巻布団って判りますか?知ってますか?(誰に)
あと関くん家から電車に乗りますが、あれは関くんが榎さん騙して(と言うより何も云わなかったんだけれど)東京方面ではない下り列車に乗ったと思ってください。こういうのが出す隙を作れなくて、此処で補う私最悪。

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冬冬妄想

榎関冬企画
毎日覗きにいっている変態です。主催者さまのブログにも喜悦の笑み(気持ち悪い)を零す日々。
何か書けるものはないかなーと妄想を繰り広げています。だのに昨夜は何故かコーヒールンバに跳びました。怪訝しいだろう!今は金をためる時期なので外にも出られずにPCの前でしこしこしよう!と。
因みにアラブのエライお坊さんは中禅寺さんで恋を忘れたのは榎さんでした。たぶn神崎さんとのトラuma....!
何したんだ、神崎!(蒼白)
で、おぼーざんが手ずから淹れる珈琲を呑んでいると、関口が現れて、「なんだあれ、面白いモノを飼っているじゃないか」とフォーリンラビュ。「飼ってません」………白コウモリの前段階の話みたいだな。これ。
冬じゃないし…!雪上の落椿とか如何だろう?と思っていたんだが、うーんお題に雪も花もあるしなー。この場合椿は榎さんな気がする。真っ白な椿で関の襲いうk…。(意味解んない)
そういえば、茶碗の中1で幼い榎さんはおもいっきり青年関とやろうとしていたんだが…。精通キています。あと関くんはひんやりとしているので夏の夜のお供にどうぞ。
「榎木津の部屋はいつも閉まっているよなー」(モブの会話)
「熱くねえのかな?」
「真っ裸とかなんじゃねえ」
「一人部屋だっけ?」
「そう、相方いないんだよ。榎木津は」
「いいよなー」
まあ裸は裸だが一人ではないんだがな。両腕と両足で抱え込んでます。首筋に頬を寄せて。ひんやり。それを目撃するはめになるのは起こしに来る中禅寺さんです。(可哀想)
冬どうするんだろう…?寒いよ?あ、でも地下水って冬は温かいものだと云うし!

今すごくパスタ的なものが食べたい…!食べたいのです。おなかすいた

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