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何故そうなる…

ハリー。ジョン。姉弟。
思いついた単語とセンテンスの殴り書き。
sherlock_bbc

ハリー唯一の男はジョンだった。

彼女は同性愛者だ。兎角男性を忌避するようなそれではなく、ただ嗜好が女性にのみ向い、好むものを傍に置いてみたら其処にXYの遺伝子を持つものが皆無に近くなったに過ぎない。
その彼女の中で、唯一男が他ならぬ弟であったのだ。
そしてそれはジョンの中で幾許かの違和感を持たせた。否定的な感覚ではない。寧ろ歓喜に近い…優越感だった。この世の中でハリエットが愛する男は他ならぬ、此の身だけであるという――――

魘されるような感覚を憶えている。
ジョンはぼんやりとただ寝台で上肢を起こしていた。夢を見ていたのか。能く解らない。懐かしい、けれどもっと歪な心象だ。
思い出してはならない。
ジョンは口の辺りを手で覆い、目を瞑った。
奇妙な同居生活をしている。
相手は男性だ。自分よりも幾つか歳下の、奇矯な青年だった。
全てが目が眩む程に刺激的で。
何も考えなくていい。
味わうものは、危機感と少しばかりの恐怖であった以前の職場と引けを取らないだろう。

「やっぱり私の弟ね」
そう快活に勘違いをしたハリーに、訂正の意見は採用されなかった。

就職先を英国陸軍に決めたときに、姉の反対は烈火の怒りと同様だった。学業で優秀な成績を修めていた身ならば、もっと安楽な道があるだろうと彼女は云った。
安楽な道。
彼女の弟として生を受けて此の方、それを求めたことすらないことを姉は知らない。
否、知らなくて好いのだ。

欲しいのは恐怖だ。
撃たれた時の昂揚を憶えている。
自分を危機に苛む興奮。


彼女が今の病気を克服して、そして幸せになればいい。クララとやり直せばいいと思うし、新たな出会いを求めてもいいだろう。幸せになってほしい。もう二度と会う心算はないが、それでも家族なのだ。何も揺るがない。

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