忍者ブログ

僕は野獣

暑さに酔う。否、暑さにさえ酔うのだ。そして何処までが己れで、何処からか外気であるのか区別が尽かない。
時々末期の水を与えられるように、脣を湿らせる程度の水を摂取する。
夏場の水もすぐに温み、それが水かどうかさえ解らない。
水を口にしているのかさえ。
力が入らない。
眩暈を抑え込むように目を閉じて凝乎っとしている。枯れた藺草の埃の臭いが鼻につき、其処へ汗が流れ落ちているのが自覚できる。
自分がゆっくりと無くなっている。
「…嗚呼…えのさん…」
吐息したのかあの人の名前を呼んだのか解らない。
最後の最期に榎木津の名前を呼んだとしたらなんと不誠実な夫だろうか。関口は不図笑い、意識が水底の更に奥へ沈んだ。

 違和感を感じ目を開ける。暑い。暑さに負けて、敷布を柔らかな麻のものに替えたり部屋の模様替えをしたのは一週間前ほどの話だった。その前日に暑さに負けて寝台の上でへばり上げ、何もしないままに酔っていた男の所為でもある。
榎木津は渋渋する瞼をそれでも抉じ開けると、自分の前が開いていることに気付いた。
そして其処に人がいることも。
ズボンの前を開けて榎木津の陰茎や陰嚢を無視し会陰部を指で押し上げ撫で回している関口がいた。
「全く…野獣だな、セキ」
関口は目を瞠くと榎木津の腰骨にそっと手を置き、陰嚢の根本を吸い上げるように口付けたのだが、衣類を着けたままの榎木津にそれは上手く行かなかった。
「?榎さん」
「覚めた、覚めない奴がいるものか。この愚か猿が!」
榎木津の顔は闇の中で笑っていた。眩いばかりの昼が去って、窓罹も引いていない室内に夜が落ちていた。
長い腕が伸びて関口を巻き込み上げようとしているのを、関口は尚もその会陰を刺激した。
本当は舌で押し上げたいのだが、榎木津はズボンを脱いでくれる気は無いらしい。指を陰嚢の裏側に進め、皮膚を動かしつつ、指先で叩く。
榎木津の長い溜息が聞こえた。
「無理だよ、セキくん」
君じゃあるまいし。榎木津は関口を引き上げ、胸に抱いた。
「汁を流しながら全身痙攣させて、時々乗り物の中でもイっちゃえる君のような素質はないぞ、僕はね」
「えのさん、」
「するのだったら舐めてくれないか」
囁かれ、脣を合わせる。
啄み合い、歯列を開き舌を合わせる。
唾液を交歓する。
脣を離すと、関口は胸にしな垂れかかった。
そして榎木津の下肢を触れる。
「少し堅くなった」
嬉しそうな笑う声が胸からして、榎木津はその顳顬に脣を落とす。
「どうした、セキ」
汗の匂いがする。男の汗を嫌だと思わないのは関口のものくらいなものだ。否、嫌で無い訳ではない。
「けだものになろうと思って」


----------------------------------------------------------------------

のちほど書き換えます。
8月10日。野獣の日です。会陰072が得意な関くん…とか構想していたんだけれども…

拍手[1回]

PR

この記事にコメントする

お名前
タイトル
メール
URL
コメント
絵文字
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
パスワード

カレンダー

04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31

フリーエリア

最新CM

[07/25 関口の知人ですが]
[04/07 恵明/寒林]
[03/31 金魚]
[11/08 恵明]
[11/07 金魚]

最新TB

プロフィール

HN:
寒林
性別:
非公開

バーコード

ブログ内検索

最古記事