たましひ の はなるる やまひ ＠ 鵼の支度

【spec】
country-JAPANESE 
sex-MALE
occupation-ACTOR
25-yearsold
若手俳優。
正直売れていない。
将来幼馴染の俳優とノッキンオンへブンズドアの二人芝居をやることが夢。（連絡は余り取り合っていない）
何かあるとついついボブ･ディランのノッキンオンへブンズドアを口ずさんでいる。
仕事だったらなんでも御座れ。
で色んな男と出逢って成長して行く、的な。
私がBL脳なので、勿論此れからの福生みつのりさんの嗜好の対象は男性です。
--------------------------------------------------------------------------

　例えばギルドホール演劇学校のような専門学校を出たわけじゃない。環境と一本の映画の所為だと云える。学校から海の円い入江が見渡せた。夏の嵐の季節には荒れ狂う海を能く見た。
そんな環境で有力な就職先は主に公務員で、共働きをする母は市役所に、父は郵政省の役人と云う公務員家庭に育った。
　そんな家庭に育ったのにやくざな職種に着いたのはなんの反動だろう。

「だからってこんな仕事か…」
此処で煙草でも吸えれば見栄えもするのだろうが、充徳は小さな紙カップで『ご自由にお取り下さい』と云う張り紙のされた珈琲を口にした。
「パンツの日、」
「みつのり似合ってるけどな」
同じく俳優でバイト仲間の男が煙草を片手に充徳に笑いかけた。
「誰が好きこのんで見んねん、こんなの」
「お、関西弁」
片瀬と云う男がおどけた。みつのりは嘗て事務所の先輩に云われ、出来るだけ標準語発音を使うことを心がけるようにしていたが時々生来のそれは口を衝いて出る。
「だって…流石に情けないっていうか」
「仕事に貴賎はないだろ？それにみつのり似合っているよ。その細さだけあって」
括れが見えるほどに細い肢体は仮令女物のランジェリーであろうとも着こなすことができた。
「どこがやねん」
「まあまあ、取り敢えずショーは始まってるんだし」
Ｇストリングのショーツ、その小さな布地は股間の前だけを隠し膨らんでいる。ブラこそしないものの胸の下から広がる夢のようなピンクのベビードールを来ている。足元は同じくピンクのエナメルのハイヒール。
「でも箔が着くってもんだろう。下積みをやったって云う」
会話は先刻から堂々巡りを始めている。
「ほら出番の合図だ、行こう」
片瀬が充徳の肩を抱いた。
八月二日都内のライブハウスでランジェリー会社のショーに駆り出されている。
股間のモノに自信がある筈もなく、男としては細すぎセクシーでもない貧弱な肢体の福生みつのりは男性物ではなく、女性物を着て歩く部門に出ていた。
　メイクもしたし、手指と跫の爪も塗られ、足首にはアンクレットを回されて、笑顔ではないけれど頬笑みは要求された。
花道の突端で尻を突き出すと、狭い布地に包まれた陰嚢が臀部と跫の付け根の向こうに見えて歓声と笑い声が聞こえた。パンツの日なのだから下部の下着を強調するのは仕方無いのだが流石に羞恥が沸く。
恥ずかしい、と思いつつも顔を赤らめてはならないし、練習通りの膝を擦り合わせて歩くウォーキングは後ろからみると臀部を振っているようにも見える。
　片瀬は良い男だ。色んな仕事場やオーディションで顔を合わせる敵ではあるが、性格も良いし顔もソコソコ見える。気が着くと一緒の仕事のあとは食事をするくらいの仲になっていた。
「あかんわぁ。これじゃ全然あかん」
「今日のか？」
「あれじゃほんとオカマさんのストリップショーやんかぁ」
「鳥渡余興的な感じもあったしな」
「そう！そうやねん、最後の俺らのなんか特にそうやねん」
片瀬は良いのだ。結構良い躰をしているから男性下着の真っ当なショーだったのだから。

-----------------------------------------------------------------------

とか。あと、酔って朝起きたら男の寝台だった妄想とかもある。


 

[0回]