lostparadise
今日は…よりおきにの人が連続で負けた日だったよ…。
悲しい。
いいなぁ上海(吐き出すように)
そういえば先週着物の先生に柘榴を二つ貰いました。庭で生ったそうで。甘くて美味しかったです。
関口くんに喰わせたい。青木くんが持って行けば良いよ。
………ああ、そういえばエデンの園で蛇が唆す果実は柘榴だったか?
「甘い」
「それは良かった」
青木と関口は二人褥の上で胡坐を掻いて向かい合っていた。
数多の種を口から吐き出して行く様を青木は煙草を加えながら熟視めていた。既に二人下着と襯衣を羽織っている。
「食べ難いれすよね、柘榴って」
「それをわざわざ食べたのだから、余程蛇は蠱惑に唆したんだろうね」
然し君も、と関口は顔を上げた。
「出会茶屋にこんなものを持ってくるなんてね」
その顔は本当に珍しく愉しそうだった。
「関口さんに食べさせたいと思ったんですよ」
「…青木くん…」
潮が曳くように関口の顔から笑みが消えて行く。
「貴方に食べさせようと思ったら、此処しかないでしょう」
関口はまた俯いて、柘榴を食み始めた。
外に持って行き様の無い関係だ。会えるのは此処以外に無い。こんな粗末で窓もなく、不衛生な部屋が二人の云わば、楽園なのだ。
「君も食べろよ」
関口が柘榴の実を抓んで青木の前に差し出した。
青木は薄く脣を開くと、関口のその指を吸った。
柘榴と共にその指の腹を噛みしだいた。
青木が歯を少し緩めると関口はその口内から唾液にしとどと濡れた指を引き出した。
そして青木は自分の掌に種を吐き棄てて、「甘い」と呟いた。
ロストパラダイスは能く扱われる素材だけど、矢張り書くほうにしてみると魅力的なんだよね。
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