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staralfur

今は何を書いたらいいのか心が千々と乱れているので、観た映画のことでも。

去年此処でタイトルでも使用した『光のほうへ』を見た。
デンマークの映画で明度は低いし、すぐに小雪ま舞うし、なんと言うか寒々しくい。
聖人の名前を持つ兄と、名前の無い弟。そして彼らによって名前を着けられ死んで行く赤子は末の弟。
此の赤子が死ぬことにより酷い痛手を受け彼らは成長する。
恋人との間に子供が出来てそれを拒絶する兄と
子供を授かりそして慈しみ育てる弟。
共に定職を持たず、況して兄は務所帰りで、弟は麻薬中毒でやがて売人に。

弟の子供は末の弟の名前を授けられていた。

何処までも鬱屈した物語だったんだけれど、最後の最後に僅かな光明が見えて…。
まあ伯父と甥に萌えたんですが。嫌だな、オタクって。
洗礼式のように名前を授けている少年時代の映像は最初やりすぎな感のあるものだと思っていたけど、最終的には酷く大切な時だったんだと思わされた。
子供に子供が育てられる訳が無い。でも責任が無い訳じゃないし、彼らのあのネグレクトは罪には違いない訳です。
どうか、片手を失った伯父ニコライと甥マーティンの日々が穏やかでありますように。お互いに愛し合いながら生きてゆけますように。
願わずには居られない。
だからこその此の邦題なんだろう。
なんでも原題の『Submarino』は刑務所に於ける水責めの拷問のことらしいので。

田舎の越した彼らの倹しい幸せな日々の想像しかできない。
きっとニコライの右手や刺青には田舎の人たちの疑わしいような奇異な目も向けられるだろう。
それに少し困ったように「若気の頃の至りというか、」とか「不調法で、」とか答えるんでしょう。
そして周囲の人はそれを受け入れるだけの度量があって欲しい。少なくとも、マーティンがあの侭素直に成長できるほどには。
ニコライは弟マーティンのことがあるからこそ、狂っているようには見えなかった。彼は友達を庇うと云うことができる人だ。
きっと甥のマーティンを慈しむことができる。

………そしてそのマーティンは俳優になって、彼の元を離れてゆくんだよ。因みにマーティンの初恋は伯父。彼ほど
誠実で豊かな人は居ないと思っている。純粋にマーティンの成長だけを喜ぶニコライ。
彼の元を離れてゆくのは、恋心が報われないからでもある。伯父と甥は血の上でも禁忌だ。
そして結婚もするけど、男の人に惹かれるマーティン。しかも自分より若く、ずっとずっと育ちの良い男性に。
これはRPSで書こう。
と名前に引き連られ、マーティンフリーマンの妄想などを。彼の過去は、向こうのTV局がドキュメントにしているのでこうではないことは理解している。一応。

で、『光のほうへ』の公式サイトに行ったらトップページに金子みすずの詩が引用されていた。

明るい方へ 明るい方へ。
一つの葉でも 日の洩るとこへ。
やぶかげの草は。

明るい方へ 明るい方へ。
はねはこげよと 灯のあるとこへ。
夜とぶ虫は。

 明るい方へ 明るい方へ。
一分もひろく 日のさすとこへ。
都会に住む子らは。

ヤコブ・ゼーターグレンは素晴らしかったし、素敵だった。
スウェーデン人のデンマーク育ちらしい。
なので今日のタイトルはsigar rosより。

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